日本一の富士山にチャレンジ!富士宮口から日帰り登山

富士山

2019.9.1、夏の終わりに子供達と富士山にチャレンジ。

トレーニングの集大成を

「富士山に登りたい」というゲンタの一言から始まり、7月の御嶽山、8月の立山乗鞍岳と、3000m峰を3座登ってトレーニングを重ねてきた。高山病の症状を確認したり、身体を慣らしたり。ソウタが幼稚園の時に挑戦した時と同じように、ゲンタもできる限りの準備はできたと思うんだ。この夏の頑張りを無駄にしたくない。今年中に富士山にチャレンジしたい。そう思っていた。

家族で夏の3000m峰へ!乗鞍岳登山~2019夏旅(登山編)

子供と夏の立山へテント泊登山(テント泊~下山編)

子供と夏の立山へテント泊登山(後編)

子供と夏の立山へテント泊登山(前編)

3000m峰へ!御嶽山で高所トレーニング~親子登山

天気の影響もあって、2度中止に。気が付けば二学期も始まっていた。閉山前に何とか…という気持ちもあり、日帰りの予定しか組めなかったんだけど、挑戦することに決めた。本当は小屋泊で登頂!というシナリオが理想的だし、今のゲンタには日帰り富士山は厳しいのも理解してるんだけど、この夏の頑張りを無駄にしたくないから。チャレンジすることの方が大事だと思うし、登頂の有無に関係なく、間違いなく良い経験になるはず。幼稚園児でチャレンジしたソウタがそうであったように…

幼稚園児の富士山チャレンジ(登山後編)

幼稚園児の富士山チャレンジ(登山前編)

幼稚園児の富士山チャレンジ(準備編)

富士宮ルート

ゲンタが日帰り可能なのは、富士宮ルート一択。富士吉田は歩きやすくて良いんだけど、混雑渋滞と往復距離約15kmを考慮すると間違いなく厳しい。ということで、最短ルートである富士宮ルート。ただ、短い距離で標高を上げるので、他のルートより高山病になりやすいというデメリットも。それでも、往復8km程度、登りと下山が同じ道でわかりやすい、吉田口に比べて人は少ない。というメリットがある。

水ヶ塚公園駐車場

マイカー規制中なので、麓の水ヶ塚公園駐車場(期間中有料@1000円)に車を停めて、シャトルバスで富士宮口へ。始発は5時半から。大人往復2000円。子供は半額の1000円。(2019年9月1日現在)

5時半始発だけど、時間前に満車になると出発してしまう。バスは何台か待機してて、次のバスも満員になり次第出発する感じ。始発の時間帯だけ、こんな感じになるのかな。僕らは2台目で5時32分くらいに出発。5合目までは約30分。6時過ぎには富士宮登山口に到着するので、割と早めに行動可能。

富士山表口五合目(標高2400m)からスタート。コースタイムは、登り5時間半、下り3時間だったかな。ソウタくらいの年齢の子供とか大人なら日帰りも余裕なルートだと思う。ゲンタは高山病次第。

富士山らしい登山道。あぁ、なんか懐かしいという感覚。登山口は違えど、4年振りの富士山

予報は、晴れ・霧。山頂付近は霧に覆われることが多いという予報。朝6時過ぎの5合目からの景色は申し分ないくらい晴れている。ただ、予報通り風が強い。ヤマテン予報でも19m/秒なので、覚悟はしてきた。上にいくほど厳しくなるだろうね。コンディションは良くないけど、それも経験として。

最近、富士山で落石により死亡事故があったよね。案内板の設置場所としては、これ以上ないくらいの場所に「落石注意」のお知らせ。こんなの落ちてきたらひとたまりもない。

新六合目~雲海荘・宝永山荘

20分くらい歩くと、新六合目の雲海荘・宝永山荘に到着。序盤なので、少しだけ足休めしてからリスタート。ここは食事もできるし、ジュースも売ってるし有難いね。宝永山はここから分岐。

asobitogearのバックパック試作品をテスト

asobitogearのバックパック試作品を背負ってフィールドテスト。詳しくはブログを読んでもらえると嬉しいな。子供が使う想定で設計したものなんだけど、やっぱりトルソーレングス(背面長)を合わせると、かなりのフィット感。これに尽きると思う。

容量は13リットルほどで、大人の日帰り装備でも問題なく入る(個人差あり)。この容量だと、デイパックとかトレランザックが多いので、10~15リットルくらいのUL系?バックパックが欲しくて作ってみた。

振り返って見える景色は格別。目の前に愛鷹山、伊豆半島や駿河湾。雲の隙間から伊豆大島も見えた。

ゲンタのペースに合わせてのんびり進む。4年前は、山歩きの経験不足もあって、かなりペースを落として、慎重になり過ぎた部分もあったけど、4年経った今では、富士山だからと変に気負わず(これ大事)、いつもの山歩きより、少しだけゆっくり歩くくらい。水分補給はマメに。行動食もしっかり食べて。呼吸もゆっくりと深く。念のため酸素缶を2缶持参しているので、適度に吸いながら登る。

雲海

愛鷹山の奥にうっすら見えるのが天城山かな。2年前に家族で周回したね。

天城山シャクナゲコース周回〜子供と日帰り登山

新七合目~御来光山荘

新七合目の御来光山荘(2,790m)に到着。順調順調。

ここでトイレ休憩とお菓子休憩。小屋前は、人の往来も多くて、ちょっと落ち着かないけど、座って休憩するだけでも楽になるよね。

次の元祖七合目の山口山荘まで約50分。因みに、富士山山頂まで2.8km180分って、やっぱり近い。

風が強くなってきたので、ウインドシェル代わりにレインウェアを着用。手袋もないと厳しいかな。帽子もフリースキャップに変更。他にもダウンジャケットと保温パンツ、インナータイツも持参。装備不足で山頂に辿り着けないのは嫌だったから、防風防寒対策だけはしっかりしてきた。瞬間的だけど、子供達がよろけるくらいの風で15m以上。

気が付けば3,000m。事前トレーニングのおかげもあって、ゲンタは順調に歩いてる。乗鞍岳の3,026m以上の高さは、ゲンタにとって未知の標高。そこからどうなるのか、不安と楽しみが入り乱れる。

ゲンタは、序盤に比べると少し表情が硬くなってきたかな。風が強いというのも影響してる。念のため、酸素缶で吸入したり、こまめな休憩を取って早目の予防。

この先も順調に高度を上げていけるだろうか…

元祖七合目~山口山荘

元祖七合目(3,030m)に到着。風が強く、下半身もレインウェアを着用。中途半端な装備で歩き続けると間違いなく低体温症になる。厳しい富士山を体験するのも目的。今日は特に強風予報なので、次に来る時は穏やかな日に登りたいね。

山口山荘に外トイレがないと思ってたら、小屋内にあったみたい。一応、携帯トイレとエマージェンシーシートがあるので、緊急時に用は足せるw。

宝永山を見おろす高さ。上部の雲の流れは早いけど、下界の天気は最高。雲海も綺麗。

元祖七合目付近ゲンタの様子

うーん。少しずつ高山病の症状が出始めている。我が家の子供達は全員が眠気のみ。吐き気と頭痛に悩まされたことはなくて、眠くなるだけ。どこまで突っ込むのか線引きは難しいけど、頭痛と吐き気がしたら撤退のサイン。速やかに高度を下げる。これがマイルール。

眠気だけでも厄介で、ボーっとして、ふらふら歩けなくなると、厳しいよね。今のところ、そこまでの症状じゃなくて、眠そうだけど、自力で歩けるし、会話もできる。とりあえず、次の八合目を目指すことに。

足取りは確か

ペースは遅いので、時間と共に登山者が増えてきて、登山道も賑やかに。降りてくる人達もいて、やっぱり富士山は混雑する山だ。平日ならもっと空いてるのかな。いや、平日でも、富士吉田と富士宮は混んでそう。そうなると、やはり御殿場ルートか…

遥か下に、スタート地点の5合目レストハウスが見える。こうやって振り返ると、登ってきたことを実感する。もう半分以上まで来てるしね。

頑張れ~ゲンタ。目の前に、八合目の小屋が見えてきた。あともう少し。そこで早目にお昼を食べて、思いきり休憩しようと伝えた。

八合目~池田館

八合目(標高3,250m)の池田館に到着。ここで大休止。ゲンタがお腹空いた~というので、強風で冷えた体を、暖かいカップ麺で回復させることに。山専ボトルのお湯を注ぎ、待つ間に、カスタードクリーム入りの大判焼きを頬張る。食欲はあるので一安心。食べられなくなると、厳しくなるからね。まずはゆっくりご飯を食べよう。

カップ麺を少しだけ食べて、眠くなったので横になる。この時点で厳しい状況なんだけど、しばらく寝かせておく。思いきり休んで、起きたら眠気が消えてると良いんだけど。隣で待つソウタは、やることなくて、釣られて眠くなるw

30分くらい休憩してから再出発。ただいま10時半。池田館から9合目まで30分、そこから山頂まで1時間。距離も残り1.5km。じっくり2~3時間かけても昼過ぎには着くし、タイムリミットが15時に山頂から下山なので、それにもまだ間に合う。

が、しかし。ゲンタが前に進めなくなってしまった。なんとか足を前に出し、少しずつ登って行くんだけど、小屋から少し登ったところの大きな岩で写真のように完全ストップ。瞼も閉じちゃってね、この時点で、僕は無理だと判断し、引き返すことを決意。

ただ、本人に聞いても「戻らない、登る」と言う。でも、身体は先に進めない。30分以上も硬直状態が続く。もうね、本人のやる気に反比例して、身体は眠りたいというミスマッチなので、ゲンタの葛藤がすごくて、イライラして、とにかく辛そう。

一時間半、待機

気が付けば、八合目を過ぎてから1時間半以上が経過。これだけ動かず粘ってみたけど、回復の兆しもなく、改めて僕から降りようと提案。ゲンタも、ようやく降りると頷いてくれた。よく頑張ったよ。酸素缶も使ったし、水分も取ってるし、ご飯も行動食も食べて。それでも高山病になるときはなるわけで、こればかりはしょうがない。決してゲンタのせいじゃない。

八合目のその先で

日帰り富士山チャレンジは八合目の少し先(3,300m付近)でおしまい。御嶽山で初めての3000mを体験。その時は、かなり高山病が酷くて、正直富士山は厳しいと思った。でも、立山乗鞍岳を問題なく歩いて、高山病にほとんどならず、身体が慣れてきたし、この調子なら富士山もいける…。そう思ってきたんだけど、そんなに甘くはなかったね。高山病ってのは、本当に手強い。

登る前から約束してたとは言え、ソウタが降りても良いよと言ってくれて良かった。ソウタの優しさに感謝。ありがとう!ソウタ自身も、4年前のリベンジがあったから、山頂まで行くつもりでいただろうし。今回は、前回よりも手前で引き返すけど、今のソウタならなんの問題もないなって思う。寧ろ、御殿場口から日帰りするくらいが丁度良いと思うw

山頂付近は、相変わらずガスってる。風は強い。場所によっては、ソウタもゲンタも立てないほど。山頂から降りてくる人が、「風ヤバいっす。大人はなんとか、子供には厳しいかも」と言ってる人がいて、想像以上の強風。3人でスクラム組んで剣ヶ峰まで進むイメージいたけど(笑)、残念ながら叶わず。結局、この日は九合五勺の胸突山荘が一瞬見えただけ。山頂は一度も拝めることができなかった。

悔し涙?彼なりに色んな思いがあったはず。そんな悲しそうな顔して、パパを泣かせないでおくれ。涙もろくなったものだw

実は、2回目の富士山が4年後になったのは、富士山に登るのが乗り気じゃなかったから。ソウタの悔し泣きを見て、僕もツライ気持ちになって、涙が出たのを覚えてる。今回も同じだ。高山病ってホント厄介で、本人のやる気がどれだけあっても、気合がどれだけあっても、対策しても、そんなの関係なく無慈悲に襲ってくる。登りたいのに登れないってツライよね。子供達にそんな思いをさせたくなくて、辛そうな子供達を見るのが嫌で、足が遠のいてた。

でも、子供達にしてみれば、登れなくても、富士山に登りたいって思ってるみたいだし、失敗とか辛さとか、そんなネガティブな気持ちなんか持ってないんだよね。そうならないように、勝手にブレーキをかけてたのは、僕だったという情けない話なのだ。

名残惜しいけど…下山しよう。トレランハイカーが颯爽と駆け上がっていった。

標高を下げても、なかなか本調子に戻らないゲンタ。彼の場合は、かなり標高を下げないとダメなんだよね。それまでの辛抱。

八合目を境目に、下界の天気は安定して晴れている。風は相変わらず強いんだけど、お昼ともなると、寒いというより、ほんのり心地良いくらい。

下りも同じ道を使う富士宮ルート。そこまで幅は広くないので、人が集中する夏休みとかは混雑による渋滞がありそうだね。この日は、日曜日ということで、日帰りメインの人ばかりだから、土曜より空いていたと思う。

怪我のないように、ひたすら下っていく。途中、ブルドーザーがブル道を降りて行った。富士山らしい光景をゲンタに見せてあげられた。

六合目に到着。この頃にはもうゲンタも元気一杯で、会話しながら降りる余裕も。ただ、足の裏が痛いみたいで辛そう。ベンチで少しだけ休憩。

さようなら、富士山。来年こそは山頂へ。

14時半前に、5合目にゴーーール!八合目の途中までだったけど、景色も良くて、富士山の強風も体験できて、楽しかったよね。お疲れさま。

この日の気温は山頂で5℃。五合目で15℃。死者2人に、子供達はビビってたけど、富士山ってそういう山。しっかり準備して、無理せず登るのが大事。実際に歩いて、厳しさも理解できたんじゃないかな。

丁度、水ヶ塚行きのバスが停車してて、そのまま乗り込んで15時に駐車場に到着。御胎内温泉に入って、早めに帰宅。日帰り富士山、充実の一日でした。

振り返り

ゲンタは残念ながら高山病になってしまった。振り返ると、いくつか原因は考えられる。普段より遅めのペースを意識したけど、山を歩き慣れている分、遅いペースとは言え、他の人より早かった。これは、同じバスに乗ってた人達が、僕らの1時間以上後から登ってきたことでわかる。もう少し遅くて良かったかな。もちろん、それで高山病にならないという訳じゃないけど。

あと気になったのが、呼吸法。ゲンタは、疲れ始めるとハァハァと口呼吸になっちゃう、それが原因の一つかも。普段の生活から鼻呼吸を意識するのはもちろんだけど、登山の時に鼻腔拡張テープとか貼ってみても良いかも。効果はわからないけど、深くしっかり呼吸できれば、少しは対策になるわけだし。

ソウタとゲンタで明らかに違いがあるので、体質的なものもあるとは思うんだけど、僕ができることがあれば、色々と試して、富士山に登らせてあげたいなぁと思う。来年に向け、これからの一年もたくさん山を歩いて楽しみたいと思う。

ナイスチャレンジ、ゲンタ!