長野県松本市に移住して二年目。やっと農業を形にできる。今年の6月中旬から、少ない品種・数量だけど、梓川で丁寧に育てた野菜達を直売所で販売しているので、告知させてください。
2024年は開墾と試行錯誤期間
2024年4月に引っ越してから、自宅裏にある畑の手入れを始めた。広さは約2000㎡=20アール。畑としては小さいけど、初めて農業をする僕にとっては十分な広さだ。十数年も手が入っていない場所だから、雑草が生い茂り、前の住人が伐採したリンゴの木や枝やらゴミやらが落ちている場所(笑)。とにかく草刈りから始めた。全てを一気にできるわけじゃないので、自宅裏の小スペース(約500㎡/5アール)から手を付けた。枝や石、雑草の根っこを拾い集め、溜まったら野焼き。耕運機(歩行型)は、仲介してくれた不動産屋さんの好意で譲ってくれた。買うと結構な値段なのに…。新しい場所で新しいことを始める時に、周りの協力があるって本当に有難い。






ヤンマーデカポチ
耕運機で何度も耕して、石灰と籾殻を蒔き、少しずつ畑に変えていく。肥料(元肥=もとごえ)は発酵鶏糞を使い、化学肥料は使わなかった。これが良いか悪いかわからないけど、できるだけ現状の環境で野菜を育てようと思ったから。
GW明けには、トマト、ナス、キュウリ等の苗をホームセンターで買ってきた。緑のイボが付いた支柱とか、見たことはあったけど縁遠い存在だったし、まさか自分が買うことになるとは思いもしなかったな。YoutubeやWEB、書籍をいくつか買ってとにかく基本から勉強。何でもそうだけど、初めてやることはワクワクして楽しいよね。野菜の葉っぱを覚えたり、この野菜はこうやって育つんだ!とか、どれもが新鮮な体験。
初年度は、自家消費分の野菜を作ることを目標に、ノウハウの蓄積に努める期間。栽培方法は?何が必要?収入にならないので経費ばかりかかったけど、必要な投資として割り切った。最低限の道具と知恵と工夫でやりくりしたから、農家と名乗るなんておこがましく、2024年はちょっと広い家庭菜園というレベル。







スーパーで買っていた野菜を自分達で作る。そりゃ、収穫できた時の喜びは格別だよ。ミシンでズボンやサコッシュを作った時の、あの感動があった。モノ作りが好きな自分を再認識した。



道具は自前が一番
夏から秋にかけて隣の畑(1500㎡/15アール)の開墾もスタート。背丈以上の雑草を刈り、耕運して畑に変えていった。とにかく重労働、特に草刈りなんて、まさに命懸け(笑)。熱中症にはならなかったけど、振り返れば本当に過酷だったなぁ…。


引っ越し当初は藪みたいな耕作放棄地が、秋には玉ねぎ栽培のスペースになったんだから、よくやったなぁって思う。成功も失敗も苦労もたくさんあった2024年でした。
2025年、農業を仕事に。あそびとファーム始動
年が明け2025年。今年から農業を収入に変えていくのが大きな目標。アソビトギアの縫製業、そして農業。この二つを収益の柱に見据えていく。農業の屋号は「あそびとファーム」。もしかしたら「あそびと農園」の方が良いかもしれないので、そこは臨機応変に。あそびとファームで覚えてもらえたら嬉しいし、何ならインスタグラムもフォローしてもらえると嬉しいなぁ。嬉しいなぁ。
売り方はいくつかあるけど、まずはすぐにできる直売所と通販から。直売所は、地元の梓川に「清流の里 梓川」というお店があり、ここがメイン。近隣に直売所はいくつかあって、1つずつ拡大していく計画。通販は、ひとまずアソビトギアのオンラインストアを活用。他にも、松本の青果市場へ卸したり、JAに出荷したり、出口を複数用意する必要はあると思っているので、徐々に進めていくつもり。
栽培する野菜は、ギア作りと似ていて、「彩り」と「品種」に気を遣って作付け予定。例えば、赤以外のトマトや赤オクラ、紫キャベツ、白トウモロコシなど。定番の緑だけじゃなく、彩りのある野菜がアソビトギアらしいセレクトかなって。また、品種もこだわって、スーパーや直売所で見かけないような、少し珍しい野菜だったり、そういった差別化も必要になるだろうって。
4月から種まきを始め、現在はトマト(11品種)、ナス、キュウリ、ズッキーニ、ピーマン、オクラ、枝豆、インゲン、かぼちゃ、玉ねぎ、じゃがいも(きたあかり、メークイン、男爵)、トウモロコシ(イエロー、ホワイトを複数品種)、ニンジン(6品種)、サツマイモ(5品種)、スイカ、メロン、ブロッコリー、レタス、キャベツ、ほうれん草等を作付け。いわゆる多品種少量生産の農家として生きていきたいなと。(特定の野菜を大量に栽培することもやってみたい。加工用トマトとか)



今年は準備期間もあったので、苗作りや土作りを意識。自宅のある梓川梓の標高は約720m。4月の育苗(いくびょう)は気温的にも厳しく、4月末に遅霜もきて、いくつかの苗は霜にやられてしまったり、発芽しなかったりと苦労した。育苗専用の小屋?ハウス?が必要だと痛感。
籾殻は、去年の秋にお隣さんの伝手でトラック1台分をもらった。これに米糠、鶏糞を入れてぼかし肥料を作れるし、畑に蒔いてフカフカにもできる。籾殻は万能な資材だと思っていて、とても恵まれてるなぁって思う。ただ、仲良くしていたお隣さんが1月に亡くなってしまい、今年の籾殻は大量に確保できそうにないので、精米所から地道に運ぶつもり。
自宅に薪ストーブを設置したことで、冬の間は毎日長野県産木材を燃やしていた。灰も大量に出るので、これを畑に活用することにした。ただ、量が少ないので、全ての畑には蒔けず。それでも循環していく仕組みはとても良いと思う。

農家の足となる軽トラックも購入。久しぶりのマニュアル車。1ヶ月ほど慣れるのに苦労したけど、今では毎日直売所の往復に使っている。長距離イベントにはデリカ、近場なら軽トラかな。
直売所で販売開始



収益化を意識して動いていたので、4月に蒔いた種から野菜達も順調に生育中。やっと・・・一年かかったけど、6月中旬から直売所へ出荷することができた!売れなかったら・・・とドキドキしてラベル張りして品出し。初日は1個。翌日は並べた分が全て売れた。手をかけた野菜が、対価を支払った誰かの手に渡っていく。この日のことを僕は忘れません。
直売所は、とにかく競合が多い。キュウリ、ナス、トマトなんて、溢れかえるほど並んでいる。似たようなサコッシュを作って埋もれていく感覚に近い。どうやってアピールするか、手に取ってもらえるかを考えていく必要がある。出したもの全てが売れるわけじゃないと割り切りも必要。幸い、今のところ売れ残り率は低いいけど、売れ残ると凹むから、もう気にしないようにしている。。


7月12日からは、松川村にある道の駅「寄って停まつかわ」でも販売を始めた。白馬に行く時、必ず立ち寄っていた道の駅。馴染みもあるし、野菜を買ったこともあるし、観光客が多いことも理解している。週末限定、夏期限定になるけど、あそびとファームの野菜をここでも販売します。今年のOMM BIKE、もし立ち寄る人が居れば、夜ご飯の野菜に使って欲しいな。
直売所に出し始めた感想。売れないと手を引いていく生産者も多いと予想。あそびとファームは、継続が大事だと考えているので、売れ行きに影響されず、コツコツと出し続けていくので、見かけたら、是非手に取ってもらえると嬉しい。
通販もスタート


もう1つが通販。アソビトギアのオンラインストアに並べているけど簡単に売れない。アクセス数や認知度が圧倒的にないので(泣)、そもそも検索からの流入はないに等しい。そりゃー売れないわw。アソビトギアで告知したって反応は薄い。でも、使えるツールは使うしかないし、ここを当てにしないと厳しいのも現実なので。
新玉ねぎも良い出来の玉ねぎが沢山採れたけど、行き先が見つからず小屋で保管。冬まで貯蔵できるから、少しの間は我慢して、単価が戻る冬くらいに改めて売ってみようかな。ジャガイモも同じで、直売所の売れ行きは予想より良くない…(沢山並んでいる&自宅で作ってる人が多い品目)。出しても売れない、でも収穫はしなきゃいけない。結果、行き場を失ったジャガイモがたくさん(涙)。売り方、考えなきゃだなー。それか、ジャガイモは栽培しないかだ。
何もせずに待つよりも、ダメ元でも何かしていかなきゃいけない。トマト、トウモロコシはネット販売してみようと思う。秋にはサツマイモも。日持ちする野菜は通販しやすいので、積極的に商品化して、少しでも売り上げに繋げたい。栽培することと売ることは全く別物なんだと痛感している。
栽培方法について
あそびとファームは、「農薬と化学肥料を使わない」やり方で栽培しています。無農薬という表記は違反になるので、「栽培期間中、農薬・化学肥料は不使用」という表現。農薬も化学肥料も使う、いわゆる慣行栽培も、僕は必要だと思っていて、何事も原理主義にはなりたくない。自分のやり方を正として、他を認めない・排除する農家にはなりたくないので、どんな栽培方法があっても良いと思うし、僕も柔軟にやっていきたいと思っている。例えば、トウモロコシは、2024年にアワノメイガにやられてほぼ全滅(多少は食べられるものもあったけど)。農薬を使わずに栽培するのは厳しいと判断し、今年はトウモロコシだけ農薬を使います(軽いやつだけどね)。
まとめ
農業って未来ある仕事だよって思いたいし、そうなるように努力したい。重労働で、命懸けで、大変なことの方が多いけど、野菜作りは面白くて楽しい。これが仕事になれば最高だと思うからやっている。でも、誰かが買ってくれなきゃ続けられないのも事実。おおらかな気持ちで買い支えてもらえたら嬉しいです。
通販も、送料はかかるけど、ガソリン代やスーパーに行く時間や手間を考えると、決して高くないと思うから、ガンガン利用してもらいたい(笑)。こちらも、魅力的で美味しい野菜を作るので、皆さんぜひ使ってください!
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