2016.8.6〜8.7、北アルプスの奥地をソウタと歩いてきました。42kmのロングハイク。後編はこちら
チャレンジの夏
夏ですね。夏休み(子供が)なので、いつもよりちょっとハードなお山を選択。いつもそうだろ!というツッコミは無しでw。
今回は「チャレンジ」をテーマに、北アルプスの奥地へ行くことに決めた。ターゲットは鷲羽岳。片道20km強。往復で40km歩かなきゃ登れない山。5月に尾瀬をロングハイク(前編・後編)、7月には仙丈ヶ岳(前編・後編)でCTをかなり短縮して歩いた。ここ最近のソウタを見ていると、手応えというかイケるという感覚はある。もちろん無理はしない。体調を考慮しながら、ちょっと高めに設定した目標に向かって共に頑張りたい。そんな前向きな気持ちで挑む夏山ハイク旅。
冒頭の写真は三俣山荘のテン場から見える鷲羽岳。結論から言えば…僕ら親子には、近いようで遠かった鷲羽岳だった。いつも以上に長文レポですがどうぞ。
三俣山荘を目指して
新穂高の駐車場事情は前々から聞いてたけど、結構厳しいことを身を持って実感した。深山荘脇の登山者向け駐車場(無料)は、金曜日16時の時点で満車のお知らせ
出発前の時点で、鍋平の登山者用駐車場へ回ることが確定。ただ、下山するハイカーさんもいるだろうし、何台か空くはずだから….という淡い期待を込めて金曜の23時半過ぎに行ってみたところ、やはり満車だった。うーん…
ということで、鍋平の登山者用駐車場(無料)へ(翌日撮影)。暗闇で分からず、右手の鍋平園地駐車場に停めてしまった。。他にも同じような方が多数w
無料駐車場から10分くらい歩いたところにあるのがこちらの有料駐車場(翌日撮影)。良心的なお値段で300円/日。2日で600円なら、こっちでもありかな。まぁ、たいして変わらないと思うか、少しでも近くなるからラッキーと思うかは本人次第w。僕らは無料へ
新穂高センターまで約30分(翌日撮影)。これが厄介なんだな。行きは下り。帰りの新穂高側からは登り。つまり、たくさん歩いて帰ってきたら、最後にこれを登り返さなきゃいけないということだ。行きは元気だから良いけど、帰りに疲れ果てたヘトヘトの体で登るのは…まさに罰ゲームw
さらにはこんな看板まで。つい最近の目撃情報にビビる(怖)今回は3時半過ぎにここを通過したので、暗闇から熊なんか出てきたら…。もしかしたら暗すぎて、実はすれ違ってたりなんかして(笑)
4:20、鍋平からのちょっと怖いナイトハイクを終え、新穂高登山指導センターの明かりを見てホッとする。40分程かかったので、鍋平スタートじゃなければどれだけ楽だったか・・・と。0時前に到着し、駐車場で仮眠。ソウタは5〜6時間ほど眠れてる。僕も3時間程度だけど、足を伸ばして眠れたので体調は良い。徹夜ハイクがちょっと厳しく感じるお年頃w
新穂高~鏡平
トイレを済ませ、いざ出発。まだ真っ暗。目的地までは11時間くらいの想定なので先は長い。できるだけマイペース&リラックスして進むことにする。ソウタは既に植物の探索モード。好きなものがあるから歩けてるんだろうね。がんばるぞ〜
林道の途中にある、お助け風(風穴)。下山時にこの有難さを思い知るのだw
この時間は涼しかったのでむしろ寒いくらいだった。
林道をひたすら進む。まずは1つ目の小屋わさび平を目指す。空も明るくなり、ヘッデンを外す。
これが噂に聞く笠新道。いつか歩いてみたいような歩きたくないような。見上げてみると、ものすごく辛そうだというは理解できたw。数名のハイカーさんがアップ中(笑)
5:35、わさび平小屋に到着。スタートから1時間ちょっと。普通のペースです。まだ疲れていないので、5分ほど滞在して先に進みます。
花の観察に余念のないソウタw。これがいつもの光景。今日はたくさん歩くよと伝えているけど、どれくらい長いのかなんて理解できてないはず。このペースで進めたらいいんだけど、間違いなく後半はきついだろうな。
6:00、小池新道入り口に到着。鏡平まで3時間半、双六小屋までさらに2時間20分。わかっていたけど遠いYO!って、今日の目的地はそのさらに2時間半先にある三俣山荘なんだよね。「今日は双六泊まりか…」どこからか心の声が聞こえたのだった…w
花を見つけて撮影指示を送ってくるソウタw。撮影係の僕は「え?その雑草も撮るの?」そんな会話を繰り返しながら、粛々と進むのであった。
軽快に登っていくソウタ。かなり良いペースで大人についていく。飛ばしすぎを心配したけれど、無理してる感じもしないので大丈夫そう。木陰は既にプチオアシス
岩場の登りが続く。難儀するかな?と思ったけど、ソウタの身長(約123cm)でも問題なく、トントントンって感じで進める道だった。日差しが強く、たまらず手ぬぐいを帽子の下に被る。脱水症状にならないように塩分水分も補給しつつ。
秩父沢に到着。沢からアルプスの美味しい水をいただく。ゴクゴク。ウマー。ザックには2ℓの水をいれて歩いてきた。ここから双六小屋まで水場はなし。(鏡平では有料で購入可能)暑い時期は、ここでたっぷり水を補給する方が良さそう。2ℓ+ボトルの水が双六小屋に着く頃には、ほとんどなくなっていたから。
チボ岩通過。チボってどんな意味なの?
振り返ると焼岳。その奥には乗鞍岳。今日はどこの山を登っても絶景でしょう。
晴れは正義なり。
穂高連峰も見える。上高地側が表だとしたら、こっち側は裏。
イタドリヶ原を通過。名前の通りイタドリが咲いている。
高山植物も増えてきて、ソウタの指示もペースアップ(笑)トリカブトを撮ってと言われたところ。
青空に向かって、ひたすら登る。ただ、急登ではなく、地味な登りが続く感じ。どちらかと言えば、登りよりも暑さの方が手強かった区間。木々の陰に隠れ、ひんやりとした空気で体力回復を図ることしばしば。本当に熱中症と脱水症状の対策は必須だと思う。
7:52、シシウドヶ原に到着。ようやく標高2000mを超えてきた。
こちらも名前の通り、シシウドが咲き乱れている所。写真に映ってるアブみたいな虫。2日間、ずーっとまとわりついてきた。モスキートネットを被ってる人も多く、気になる人はあった方が良いかもしれない。僕らは・・・共存を選択(笑)
笠ヶ岳も綺麗に見えるようになってきた。下の方からだとあまりに高低差があってよくわからなかった。笠新道って本当にヤバイかもww
せっかくだから笠ヶ岳を背に記念写真。2泊できれば・・・笠も歩きたかったけど、今の我が家に連泊は無理なので、いつか子供達が大きくなり、北アルプスでも余裕で歩けるようになったら、家族全員で縦走したいな。そんな夢を描いてみた。
クマの踊り場を通過。熊が踊るのかわからないけど、ソウタに教えたらちょっと驚いてた(笑)
ふと視界が開け、思わず唸ってしまう景色が目の前に現れた。これが噂に聞く、鏡平からの槍ヶ岳&穂高連峰の景色なのか!自然と笑顔になってしまう。左から、槍ヶ岳・大喰岳・中岳・南岳・大キレット・北穂高岳・涸沢岳・奥穂高岳と続く。
久しぶりに間近で見る槍ヶ岳。圧倒的な存在感で次々とハイカー達の目を奪っていた。そろそろあの頂きに登ってみたい…見る度にそう思わせてくれる山。我が家は来年かなぁ。
親子ショットを撮っていただきました。双六小屋まで行かれるみたいで、僕らが三俣山荘を目指していると言ったら、驚いていた。そりゃー、こんな小さな子が1日でそこまで…やはり遠くて厳しい場所なんだなと。
8:50、鏡平で大休止。持参したおにぎりなどを食べて早めのランチ。もちろん山たまタイム(笑)ちょっと塩を多めにつけて頬張るのが、山たまの美味しい食べ方なのだ。名物のカキ氷は下山時のお楽しみに取っておくことにする。
鏡平~双六小屋
ず〜っとこの場所にいたい。鏡平は癒しの空間だった。でも先へ進まなきゃ。お腹を満たし、塩分水分も補給し、次の双六小屋を目指す。
弓折岳分岐までは登り。トラバースしていくので、そこまでキツくないはずなんだけど、ちょっと足が重く感じる。。ここまでの距離とそれなりの標高を登ってきたこともあり、気持ちは前向きだけど、明らかにペースが落ちてきた。踏ん張りどころ。
槍ヶ岳と鏡平。もう言葉は要らない。ソウタと二人、この景色を目に焼き付けた。
ニッコウキスゲも咲いていた。
ソウタは相変わらず花を観察しながら進んでいる。花を見ずに進めば、どれだけ早く歩けるんだろうか。でも、彼の楽しみは植物で、これが大事なモチベーションになっているから。
弓折岳分岐へ向かうトラバース道。暑くて、体が思うように進まない…。キツくなってきた….
振り向けば槍ヶ岳。手前が西鎌尾根で、その奥が北鎌尾根。西鎌尾根はいつか歩いてみたいコース。もう少しスキルアップして、経験値を積んだらいずれ挑んでみたい。
弓折岳分岐に到着。とりあえずキツめの登りはクリアしたって、この時は思っていたんだけど、そんなに甘くなかった。ここは北アルプス。簡単には目的地に着かせてくれない。
広場があるので、ちょっとだけ休憩。ここからの眺めも最高だ。
ここで、僕もソウタも初めて出会う高山植物に遭遇。ミヤマダイモンジソウ。ソウタは名前を知っていたようで、すかさず図鑑で確認。大喜びでした。ちょっぴり嬉しい出来事もあり、気分上々。先に進もう。
笠ヶ岳へ向かう稜線。これを見ちゃったら、目的地を変更しちゃってもいいかもなぁって本気で思った。さすがに1泊では無理だけど、2泊あれば、笠ヶ岳経由で帰りたかったのが本音。
そして、ついに鷲羽岳とご対面。まだまだ遠いけど、ものすごい存在感。
弓折岳分岐から双六小屋まではアップダウンのある稜線を歩く。お花も多く、稜線歩きで、景色も良くて、気分は最高!なんだけど、この辺りから疲労が…(汗
花見平に到着。ちょっと異空間な場所だった。
槍ポーズ!槍と子槍(笑)しかし、暑いww。天気が良すぎるのも考えものか。贅沢な悩みではあるがw
おぉ、あれは双六小屋だ!その先には鷲羽岳がドーン。さらに奥には水晶岳(黒岳)もチラリ。視界に入ったけど、、まだまだ着かないのは山あるある。
ソウタは相変わらず花のチェックに余念なしw。ここまで徹底してると、ある意味すごいわw
双六小屋のテン場には夏山シーズンらしく、既にカラフルなテント達が張られていた。ここで張ってもいいな…。な〜んて本気で思った。休憩しながら作戦会議といきましょう。
笠ヶ岳(右奥の山)の凛々しいお姿と言ったら。惹き寄せられてしまう。
軽くランチその2。僕はカップ麺を食べ、ソウタはリンゴ(@400円)を丸かじり。時間はまだ12時前。ここから三俣山荘までコースタイムで2:30くらいだから、どんなにゆっくり歩いても、3時には着くだろう。ということで、予定通り、三俣山荘のテント場を目指すことにした。
が・・・この先に待っている意外にもアップダウンのキツイ巻道で苦労する親子であったw
双六小屋~三俣山荘
まずは双六小屋からの急な登りにヤラれるw。時間的にも暑さのピークだったし疲労度MAX。天気も景色も最高なんだけど、体と脚は重くなってくる。もう気力で進むだけ。幸いなことに時間には余裕がある。ここまで大人ハイカーと負けないくらいのペースで進んでいるから、立派。
分岐から巻道ルートで三俣山荘を目指す。前方には丸山、三俣蓮華岳、祖父岳、水晶岳(黒岳)、そして右端に鷲羽岳。あの麓まで行くのが今日の目標。脚は痛いけど、あと2時間の我慢。
この付近で雷鳥親子に遭遇。ハイマツの中をガサガサ歩いていたので、写真は撮れなかったけど、ソウタもしっかり目撃できたので良かった。初日に会えてラッキー。明日も期待しちゃう。
巻道らしいコースだけど、アップダウンもあり、疲労困憊な我が家にはキツイキツイ道だった。お互い、口数も少なくなり、お花を見る余裕もなし。黙々と足を前に進めるだけ。
地図で眺めるのと、実際歩くのでは当たり前だけど大違い。正直、この巻道は楽に通過できると思っていたんだけど、長距離移動と照りつける太陽で体力を消耗した僕らには決して楽な道ではなかった。
巻道の中間地点付近でソウタが明らかにペースダウン。脚が痛いと言い、こまめに休みを取りながら進む。かなりしんどそうだけど…頑張れ〜と励ますことしかできない。もう精神力の世界ね。
振り返るればヤリがいる。
三俣峠手前の登りが一番辛かった。4時前から歩き出し、既に10時間以上経っているため、疲労と眠気がピーク。正直、この時点で鷲羽岳は無理だと判断。だって、同じ距離を下山するのはもちろん、さらにテン場から鷲羽岳の往復が加わる訳で、とてもじゃないけど明日中に下山する自信はなかった。
ここでたまらず仮眠タイム。横になり、ソウタを休ませることに。彼の回復に期待しよう。
14:25、やっとの思いで三俣峠に到着。手前で休憩を挟んだのが良かったのか、なんとかここまで来ることができた。双六小屋からとっても時間がかかった気がする。
三俣山荘まで下るだけ。目の前に、手を伸ばせば届きそうな鷲羽岳。でも、辿り着けないんだな。北アルプスの奥深さを思い知らされた瞬間。結構ガツンと響いたかも。
見えた!三俣山荘だ。もう少しかかりそうだけど、ゴールが近づいたことで気持ちはいくぶん楽になった。ソウタも目的地が見えて、少し元気になってきた。ジュースを飲んで休もう!それを合言葉にして進んだ。思いの外、テン場が空いている。もしかして結構早い到着?
ここから見る鷲羽岳は、まさに名前の由来になった通り、鷲が羽を広げた姿に違いなかった。
三俣山荘に到着
15時。歩き始めて11時間。三俣山荘に到着!なんだかこの時点でこみ上げるものがあり、小屋で受付をした際、スタッフの方がソウタに「ご褒美にジュースあげるよ」って言ってくれて。もうね、泣きそうになった(笑)僕もジンジャエールを買い、二人で乾杯。生き返るとはこのことか。
3ヶ月ぶりのテン泊。ここまで来るのにとても疲れたけど、妙な充実感。テントを張ったこの場所、三俣山荘のベスポジだったのかもしれない。個室タイプで眺めも良し!ここに来れただけで、この景色を見れただけで、と〜っても満足なのだ。
山荘のトイレを利用できて、水場(無料)もあり快適なテン場です
近くを流れる沢でクールダウン。最高に気持ちよく、脚の疲れが一気にとれた。明日も同じ距離を歩くわけだから、ソウタにはなんとか回復してもらいたいな。
夕食を簡単に済ませ、槍ヶ岳を見ながら小屋で買った冷たいビールをいただくことに。最高に美味しく、ジュースみたくあっという間に飲み干してしまった。プハー
鷲羽岳の山頂。 あの頂きに立ちたいけど、ソウタの体力・走力を考えると、眺めるのが精一杯だよ。明朝3時にアタック開始すれば、時間的に下山も問題ないんだけど、あのザレた急登を暗闇の中ヘッデンだけで歩くのは子供連れには危険だよなぁ。。迷うなぁ。
夕日に照らされる鷲羽岳を見ながらしばし考え込む。初日に20kmを歩き、辿り着いた三俣山荘。累積標高はかなりのもの。正直、ここまで来るだけでソウタの脚は限界に近かった。ただ、テン場で休み、元気になったソウタを見ていると、山頂まで行けるかも?という想いも湧いてくる。本人に聞くと、早く起きて登ろうと言っているし。うーん、判断に迷うところだ。
諦めていた鷲羽岳だけど、行けるかもしれないという誘惑。どうするか?シュラフにくるまりながら、地図を眺め、行動計画を色んなパターンで考えていたら、いつの間にか眠りについていた。
後編に続く
お花ダイジェスト
ソウタが見つけて名前も全部教えてくれたお花達。駐車場や林道から撮影してるので高山植物以外も混じってますw
上段左から:メマツヨイグサ、ソバナ、シモツケ
中段左から:ヤマアジサイ、イチヤクソウ、クサボタン
下段左から:ゴゼンタチバナ、メタカラコウ、ネジバナ
上段左から:ジャコウソウ、ヒヨドリバナ、アキノキリンソウ
中段左から:調査中、調査中、クロマメノキ
下段左から:オトギリソウ、ハクサンオミナエシ、ミヤマトリカブト
上段左から:ハンゴンソウ、ホツツジ、ミヤマリンドウ
中段左から:シシウド、オオレイジンソウ、オトギリソウの蕾
下段左から:ミヤマカラマツ、ハクサンフウロ、ミヤマウイキョウ
段左から:エゾオヤマリンドウ、ニッコウキスゲ、ヤマハハコ
中段左から:チングルマ、ミヤマキンバイ、ヨツバシオガマ
下段左から:タカネニガナ、調査中、クルマユリ
上段左から:コバイケソウ、コケモモ、調査中
中段左から:ウサギギク、ウメバチソウ、カンチコウゾリナ
下段左から:ミヤマダイモンジソウ、イワオウギかな、コウリンカ?
上段左から:トウヤクリンドウ、エゾツガザクラ、キヌガサソウ
中段左から:ダイコンソウ、イワツメクサ、ミヤマウイキョウ
下段左から:オンタデ、チシマギキョウ、ハナイカダ
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