2024.8.13、空木岳を子供達と歩いてきた話。もう1年も前の山行になるけど記録として。
“悲願の山”、空木岳
これほど相性の悪い山は過去になかった。空木岳には三回トライしたけど、一度も登頂できずにいた。正確に言うと、しっかり歩いて辿り着けなかったのは1回だけ(2019年、僕とソウタの2人で歩いてタイムオーバー)。2回目は、2年前だったかな、子供達が前夜に食べたほっと〇っとのお弁当で軽く食あたり(激しい胃もたれ)になってしまい、顔色が悪くなり吐き気もあって林道入口で撤退。登山道に踏み入ることすらできなかった。3回目は、前泊した茅野で僕が夜中に熱を出して中止。現地に向かう事すらできず(朝起きて熱が下がっていたので、近場の蓼科山に変更)
と言う感じで、とにかく相性が悪かった。今回は4度目の正直。もしかすると今回も…という謎の弱メンタルで臨んだけど、子供達の頑張りもあって、結果的には無事山頂に立つことができた。まさに悲願達成。そんな苦労の末に辿り着いた空木岳親子登山の記録。
TJAR2024の応援
2024年夏といえば、山屋的には「TJAR」でしょう。イブキに釘付けになりながら、リアルタイムで現在地を確認、どっぷりハマっていた。空木岳に行く直前の位置情報を子供達と確認したところ、トップ選手に会えそうなタイミングだったので、少し期待をしつつ空木岳に向かった。
中央アルプスへの移動は、過去三回は全て東京から。今回は松本からなのでギリギリまで寝られる。おかげで身体の負担が本当に少なくて、空木岳では過去にないほどのベストコンディションで現地着(駒ヶ根スキー場)。この年になってくると実感するわけです、睡眠の重要性を…。皆さんもそうですよね?

さぁ、池山尾根。ここは本当に長くて、確か往復25kmくらい。本来なら林道終点にある駐車場からスタートなんだけど、ここ数年は嬉しいかなボーナスステージ付き(登り1時間、下り30分)で、下の駒ヶ根スキー場からのスタート。これが地味にキツい…。ここで心が折れかけること数知れず。前半オーバーペースにならないよう無理なく林道終点まで登りつめた。悪くない序盤戦。
登山道に入り、念願?の池山小屋に辿り着く。過去2回、ここまで来ることも叶わずだったから、なんだか嬉しい。TJAR選手には序盤で1名。トップを快走していた竹村選手(ザックで分かった)。ただ、この時はゼッケンを着けていなくて、何かあったのかな?なんて思っていたんだけど、下山後に失格だったと判明。この時は何も知らなかったので、「頑張って下さい!」なんて声を掛けてしまった…。

池山小屋から黙々と歩き続け、大地獄・小地獄の写真は1枚もなし。2枚目に撮った写真がココだから、かなり集中して歩いてたと思う。この景色は、初回(2019年)山行でも辿り着けなかったから、やっと空木岳本体をこの目で見ることができた。

森林限界に出るまでの注意箇所は、間違いなく小地獄・大地獄。この区間は特に注意が必要。急峻なヤセ尾根なので、特に子連れは慎重に歩きたいところ。僕らも時間をかけてゆっくりと通過した。



写真は復路で撮ったものなので、あまり伝わらないと思うけど、転んだり滑落すれば怪我や死亡事故に繋がる場所なので注意しましょう。前日、この付近で死亡事故もあったしね。


緊張感の続く区間を過ぎれば、空木平分岐~駒石へと続く。

この駒石が、想像してた以上の大きさで圧倒される。


金峰山の五丈岩ほどではないけど、とにかく自然の偉大さを感じる大きさだった。

天気はなんとも微妙な感じ。悪くはないんだけど、すっきりしなくてガスってる。欲を言えば、360度のパノラマで稜線を歩きたかったのだけど、贅沢は言うまい。

駒峰ヒュッテに到着。早出はしてるけど、いつものペースで歩けるとは限らない(過去2回がまさにそれ)。一応、計画したタイムスケジュールより早く着くことができたので、ここでやっと確信した。山頂に立てると。長い道のりだった。

最後の登り。直前まで晴れ間も見えてたんだけどね。まぁ、雨降ってないんで…。ポジティブに。

4度目の正直で悲願の空木岳に登頂~!長い長い池山尾根を歩いてたどり着いた山頂なので、達成感もハンパナイ。もしかして登れないんじゃないか?なんてネガティブ思考になったこともあったけど、諦めなくて良かった。負のサイクルが目に見える輪っかだとしたら、それを「断ち切った」感もある。

届きそうで届かなかったから、そのぶん想い入れも強く、印象的な山になった。空木岳、ありがとう。


ヒュッテでお昼を食べ、早々に下山。予定通りとは言え、日帰りだとそれほど時間に余裕はない。帰りもそれなりのスピードで且つ安全に降りなきゃいけないので気が抜けない。
ユウタ、マダニに咬まれる

空木岳では色々なトラブルが起きる。今回は、まさかの「マダニ」。下山中、ユウタが右足に違和感を感じたようで、よーく見るとまさかのマダニ‼。13年ほど登山をしてきて初めて遭遇したトラブル。このままにしておくのが良いのか?と考えていたところに、TJARの塚田選手が降りてきた。挨拶を交わしてそのまま行くこともできたのに、立ち止まって「どうしましたか?」と声を掛けてくれた。なんて素晴らしい方。心配してくださりありがとうございます!無事の完走、願ってます。(No11.塚田選手の結果は4位!)
そのまま抜かないで医療機関、という方法がベストなのかもしれないけど、「咬まれたばかり」ということ、「医療機関を受診するまでかなり時間がかかる(下山にあと数時間)」という2点から自分なりに判断した結果、この場で「マダニを抜く」という選択をした。抜き方はネットで検索し、トルネードのように回しながら抜くという方法があったので真似た。結果、ゆっくり回しながら抜いたら綺麗に抜けました~。多分だけど、咬まれてから時間が経ってなかったのが良かったのかも。念のため患部を凝視したけど異物が残っている痕跡はなかった。
その後、エマージェンシーキットに入っているポイズンリムーバーで念のため吸い出して、消毒液をかけた。偶然通りかかった女性の方も心配してくださって「リンデロン」を貸してくれました(かゆみ止め)。
今回のマダニトラブルを経験して感じたことは、エマージェンシーキットの重要性。虫刺されにはポイズンリムーバーは必須で、消毒液も同じ。さらにリンデロンやムヒのようなかゆみ止めも有ったら良いのかな。とにかく備えは大切なので、毎回忘れずにしましょう。
その後、数週間ほど様子を見てたけど、感染症などの大きなトラブルもなかったので初期対応がしっかりできてたんだと思う。

そうそう、マダニに咬まれたのは短パンだったということもあって、その場で全員長ズボンに履き替えました(笑)。短パンの方がリスクはあるけど、例えば笹のある藪に入らないとか注意すれば回避できることでもあるので、一概に「短パン=悪」とは言いたくない。

池山避難小屋を過ぎた頃には全員脚が痛くて、でも進まなきゃ帰れない。そんな時、TJAR選手が2名追い抜いて行った(No6.牧野選手とNo4.保田選手)。往復25kmちょっとの池山尾根日帰りピストンの僕らより、富山県の海から山を越えて歩いてきた選手(この時点でも数百km)の方が元気という…、やっぱり只者じゃない。僕らも気力を振り絞って最後まで頑張ろう。
※保田選手には下山後、駒ヶ根市内で車から手を振って応援しました

マダニトラブルで時間をロスしつつも、日が暮れる前に下山することができたのは、やはり子供達の走力も体力もUPしているからなんだと思う。やっと、やっと、空木岳から卒業できた!卒業なんて書いたけど、二度と登りたくない山というわけじゃないので誤解のないように。
久しぶりの百名山更新。ここ数年なかなか進捗はしてないけど、気長に続けていきます。最近の熊問題で100登れるかわからないけれど…。





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