日本第2位の北岳と第3位の間ノ岳へ挑む〜子供とテント泊登山(前編)

北岳

2015.8.1〜8.2、南アルプスにある日本で二番目に高い山、北岳と、三番目に高い山、間ノ岳をソウタと歩いてきました。とっても疲れましたが…印象に残る最高の山行でした。※間ノ岳(後編)はこちら

No.2の北岳とNo.3の間ノ岳へ

日本で二番目に高いお山、北岳(3193m)への挑戦は今週末の予定でしたが、ゴードさんから北岳に行きます!という連絡をいただき、それじゃ我が家も前倒しで…ということで付いていくことにしました。単独で行くよりも誰かと一緒の方が少し安心するんですよね。

計画では、初日に広河原から北岳肩ノ小屋を経由して北岳山頂へ。そこから北岳山荘へ降りてテント泊。翌日は北岳山荘から日本で三番目に高いお山、間ノ岳 あいのだけ(3190m)へピストンして、八本歯のコルから左俣ルートで広河原へ下山する。こんな感じでいつも通りハードな計画ですw

大人でもキツイ。ましてや幼稚園児にはちょっと厳しすぎやしないか?と思いましたが、「No.2&No.3の頂に立ちたい!」という気持ちが強く、どうすれば実現できるかを真剣に考えた結果、このルートになりました。一泊で2座行くならこれしかないはず。(大人の場合は色々なルート選択が可能です)

もちろん、当日の体調などを考慮して、いつでも計画変更できるようにしています。テン場を肩ノ小屋か白根御池小屋に変更して北岳だけアタックするプランなど。いつも以上に入念に情報収集と準備を進めました。

大混雑の夏山シーズン

芦安から広河原まで05:15の始発バスに乗りたいので自宅を2時過ぎに出発。4時半過ぎに到着したら、まさかの第5駐車場(涙)第1駐車場は深夜には満車だったみたい。夏山シーズン恐るべしw

芦安駐車場のバス停

さらに始発バスは既に満車。広河原まで50分以上かかりますが、座れないのは罰ゲームに近いよなぁ。ソウタには過酷すぎる。(ジャンボタクシーが良さそう)

すると、「夜叉神峠で降りる団体さんがいますから15分我慢していただければ座れますよー」というアナウンスがあったので、それに乗ることにしました。ソウタも自分も酔い止めを飲んでいるし、大丈夫かな?って。でも、最初の15分であっさり酔ってしまいました(笑)座席に座ってから、広河原まで横になってなんとかなったけど、ちょっと辛そう。この車酔いが後々響く事に…(次発が20分後だったので、待てば良かったなと反省)

◎芦安駐車場〜広河原のバス料金
・大人一人@1030円+協力金100円=@1130円
・子供一人@520円(未就学児は協力金無料)
広河原インフォメーション

06:13、広河原インフォメーションに到着。夏休みってだけでこんなにも人がいるんですね。普通の週末の感覚で来ましたが、ちょっと甘かったです。

広河原から見上げる北岳

広河原から見る北岳。高ぶります。

広河原の吊り橋

吊り橋を渡って広河原山荘方面へ

広河原山荘

06:45、広河原山荘。ここで登山計画書を提出しました。(いつものネット申請を忘れるw)

さぁて、出発しますか!

しばらく進んだところで、ゴードさんと長男Kくんに先行してもらいました。あまりにもペースが違ったので、無理に合わせていただくのは悪いし、自分たちのペースで進んでもらうのが一番。我が家もマイペースで行くことにします。北岳山荘で会えることを祈って…。が、ソウタの調子が上がらない。車酔いの影響でちょっと辛そう。少し休んでから出発したほうが良かったかな?

でも、そこまで遅くはないので焦らずに進みます。標高差1700mもあるので、後半に脚を残しておかないとね。

白根御池小屋

途中の分岐で白根御池小屋方面へ進路を取る。2時間ほど歩いたら白根御池小屋に到着。早くはないけど遅くもない良いペースだと思う。

白根御池小屋の名物、桃ソフト

ここに来た目的がこれ。桃のソフトクリーム。甘くて冷たくて美味しかった〜

白根御池小屋のトイレ

トイレも綺麗。チップ制で値段は書いてないけどブログなどを読んで@100円を入れておきました。

御池と北岳。この景色を見ながらのテント泊は気持ち良さそうだなー

ソフトクリームも食べて、しっかりと休憩も取ったので、草すべり行ってみますか!肩の小屋まで3時間20分。

草すべり

これが草すべりか。遮るものがないので、暑そう…

たまに背の高い木が生えているので、木陰で休んだりしながらゆっくり進みます。

ひたすら急斜面を登っていきます。

※今回たくさんのお花に出会いました。別ページにまとめてます。北岳&間ノ岳で出会ったお花

北岳・間ノ岳で出会った高山植物(2015)

降りかかる試練

草すべりを順調に登っていたところ、「らくぅ〜!!!!」という大きな声が聞こえた。上を見上げると、大きな石がこっちに向かって転がってくる・・・。うわぁ、え?あ??ど、どっちに逃げればいい?

とりあえずソウタを抱っこして、迫り来る石をギリギリまで待っていたら、目の前でストップ。こ、こわいよw。幸い大事に至らずでしたが、初めての経験だったのでしばらくドキドキが止まらなかった。気を引き締め、自分たちも落石を起こさないように注意して登る。

さらに、追い討ちをかけるように次なる試練が・・・

右俣ルートとの合流付近。標高は2800mくらいだったと思う。ソウタに軽い高山病の症状が(マジかぁ…)。高山病って、本当に体調に左右されるよね。この日は睡眠時間が短かったこと、そして車酔い。幸い、眠気だけで頭痛も吐き気もない。ちょっと前におにぎりを食べたばかりで満腹による眠気もあるだろうから、思い切って寝かせることにした。

イビキをかいて寝ています。すれ違う登山者の方々に、「本来はお昼寝の時間だもんねー。ここまで歩いて疲れたからしっかり休んでね」という声をかけていただきました。

「ここまでか・・・」撤退の二文字が頭を横切ります。

頭の中で別プランを検討。白根御池に戻ってテン泊して翌日にアタックするか、このまま肩の小屋まで行ってしまうか。いずれも北岳だけ登頂するプラン。しばらくして起こしてみるも中々起きない。抱っこしたり話しかけたりして、なんとか起きた…。ソウタに「小屋まで頑張ってみるか?今日は山頂に行かないで小屋に着いてゆっくりしようか」と提案。そして、山バッジ買いたいよねという一言で、彼が「うん!」と力強く頷きました。富士山の撤退もあって、諦めたくないって気持ちが強かったのかな。

この瞬間がこの日一番、感動したというか、ちょっと鳥肌立ちました。

小太郎尾根分岐まであと少し。無理はしないで、ソウタのペースに合わせて。
でも、豆大福を食べさせたら元気になってました(笑)

なんとか稜線に出ることができた〜(嬉

目の前には南アルプスの女王、仙丈ヶ岳(2016年7月に登りました。→登山レポ前編後編

初夏の仙丈ヶ岳〜子供と日帰り登山(後編)

初夏の仙丈ヶ岳〜子供と日帰り登山(前編)

ここからは草すべりに比べると斜度の緩い稜線歩き。お花を見たり、写真を撮りながら楽しく歩けました。いつものソウタに戻っていた。よかった

小屋まで平坦な稜線をイメージしてたけど、意外と険しいのねw

歩いて来た道を振り返る。No.2北岳に向かう稜線にはたくさんの登山者がいました。

北岳肩の小屋

13:55、肩の小屋に到着。7時間かけてたどり着きましたYO。

気がつけば3000m。ここまでよく頑張った。大半の人が初日はここが目的地だろうし。

肩の小屋テン場の風景。

北岳肩の小屋ラーメン@900円

小屋でラーメンをいただくことにします。@900円。ソウタとシェア。ナルトがなくてショック受けてた(笑)

ラーメンを食べながら、お花の図鑑を見たりしてリラックス。靴を脱いで座敷でのんびりしたのも良かったのか、かなりリフレッシュできた。同時に登頂へのモチベーションも上がってきた。「やっぱり今日登っちゃおうか?ゴードさんたちのいる小屋まで行きたいよね」。完全復活したソウタも笑顔でOKを出してくれました。イェイ!

・・・ということで北岳にアタック開始!まさかここまでリカバリーできるとはねぇ。ソウタの精神力にただただ感服する。

No.2の頂へ。北岳アタック開始!

晴れてるからテンション高め。辛いこともあるけどさ、やっぱり最高だね〜!

少し登ると両俣小屋分岐に到着。山頂まで20分!って、もうすぐじゃん

「あれが頂上?」な〜んて会話をしながら。余裕すら感じる。偽ピークなんだけどねw

反対側の稜線が見えた。今日の目的地、北岳山荘がちっさく見えます。あそこまで下るのか(汗

そして、ついにピークを目視できる場所まで来ました。感動…

北岳山頂へのビクトリーロード。先行する4人パーティーは肩の小屋から一緒。頑張れ!と応援していただきました。

肩の小屋方面の登山道を振り返る。よく歩いてきたね。

日本で二番目に高い山、北岳制覇!No.2には負けられない

15:15、ついに、日本で二番目に高いお山、北岳(3193m)に到着しました!おめでとう!!!

ここまで8時間半かかったけど、無事に到着できて良かった。先程の4人PTの方に撮っていただきました。ありがとうございます。

タイミング悪くガスが出てきたけど、正直眺望なんてどーでも良かったです(笑)ピークを踏めたという気持ちの方が強かったので。

本当によく諦めなかったなぁ。パパは誇らしく思う

感慨に浸りたいところだけど、山荘到着が遅くなるのは嫌だったので写真を撮ったらすぐに出発。4人PTの後について降りることに。

吊尾根分岐点。北岳山荘まで50分。なかなか簡単には到着させてくれない。南アルプスの山々の懐の深さを知る。

危険箇所はそれほどないけれど、小さい子供なので手を繋いで下りました。

北岳山荘が徐々に近づいてきた。それでもこの高低差w。高度感もある。自分たちが凄い場所から降りてきてる事を実感するのです…

肩の小屋からエンジンがかかり、絶好調になったソウタは自分のペースでガンガン進んでいく。

間ノ岳へと続く稜線。なんとか挑戦権を確保できたので、明日が本当に楽しみ。
日本で一番高い稜線歩きなんて、なかなか経験できないもんね。一番奥にどっしりと構える間ノ岳

声援が力に

16:30、無事に北岳山荘へ到着。出発から約10時間かかりました。決して褒められる計画じゃないけど、別プランも用意して子供の体調を見ながら慎重に進んできたつもり。日照時間の長い夏山シーズンだから可能だったと思う。一時は撤退も考えたけど、ソウタの見事な復活で北岳を制覇。ここまで辿り着くことができて、本当に嬉しい。

同じルートで草すべりから北岳山荘を目指す登山者が多数いて、道中、皆さんから声をかけていただいてたんです。山荘に到着してテン場に向かう時に、その方々に拍手で迎えてもらって、ちょっぴり恥ずかしいような。でも嬉しかったなぁ。「頑張れ〜」という励ましの言葉をもらったことで自分もソウタも頑張れた気がする。山歩きっていいな〜と思った瞬間でした。肉体的な疲れはあったけど、妙に心地よかったです。

2時間早く着いたゴードさんと合流し、さくっと設営。

*テント泊料金は一人@800円(水は無料、トイレはチップ制)
テラノバ Terra Nova Laser Competition2
これぞステルス。ハイマツに溶け込むTerra Nova Laser Competition2

今回の宿はテラノバ Terra Nova Laser Competition2。見事にハイマツに溶け込んでますw

ゴードさん親子と一緒に夕食タイム。そういえば蝶ヶ岳のテン場敗退コンビじゃないですか(笑)

北岳山荘のテント場風景(一部)

北岳山荘のテン場。これは一部で小屋の裏にもたくさん張られてました。

気温は9度。なかなか涼しいw

頑張って歩いたソウタは元気一杯だったw。鳳凰三山を縦走した時はこの時間に撃沈してたのに。。

持参した高山植物の図鑑と本物のお花を見ながらお勉強。チシマギキョウとイワギキョウの違いとトウヤクリンドウなど、いくつか覚えたね。
※今回たくさんのお花に出会いました。別ページにまとめてます。北岳&間ノ岳で出会ったお花

19時にソウタと一緒に寝袋の中へ。ソウタは暑いと言って、寝袋から飛び出して寝てました。遠くで雷が鳴っていましたが、こちらには影響がなさそう。

北岳山荘のテン場の夜

0時に目が覚めたのでテントの外を見たら、満月がめちゃくちゃ綺麗でした。風もなく、とっても快適な夜。明日も期待できそうだね。

後編(間ノ岳ハイク編)に続く